中小企業の会計制度に係る「IFRSに関する誤解」
中小企業の会計制度に係る「IFRSに関する誤解」
この4月が何かというと、「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」という資料が金融庁から出されました。この資料が公表されたことによって問題意識が変わりました。この「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」は、IFRSに関して、誤解を招く情報が流布されているとの指摘があることから、IFRSに関して誤解があると思われる事例を集めたものである。また、本資料は、専門家でない方々にもご理解をいただけるよう、正確性よりも分かりやすさに重点を置いて作成したものである。とありますが、一番読んだのは関係者・専門家の方たちだろうと思います。「そうだろう」と思いつつも、公式な見解がなかったがために言い切るのが難しかったのだろうと思います。全般的事項として11項目、個別的事項として6項目、そして参考として「IFRS適用に当たっての実務上の問題への対応について」があり計18項目について、非常に分かりやすい質疑応答がされています。内容を見ていきますと、「上場企業は直ちにIFRSを適用される」、「非上場企業にも影響があるのではないか」、「会計・財務等のシステム全体の見直しが必要である」、「社内の人材のみでは対応できないから新たな人材と研修が必要である」、こうしたことが言われてきました。
個別的な事項につきましても「全て時価会計になるのではないか」、「売上の計上にあたり、IFRSを導入すると出荷基準が使えなくなり、期末はすべての着荷や検収の確認をしなければならないのか。また工事進行基準は認められなくなるのか」、また減価償却の方向についても重要な質問がありました。
そのうちの2つ、そもそもIFRSの適用範囲はどこにあるのか抜き刷りしましたので、確認をしたいと思います。
「上場会社は直ちにIFRSを適用される」という誤解がありました。だから大至急準備をしなければならない、でも実際どうなのかということを確認します。2010年3月期から一定の要件を満たす上場企業の連結財務諸表について、IFRSを任意で適用できるようになったというものであります。一定の要件を満たす場合について、しかも上場企業である、しかも連結財務諸表である、しかも任意適用である、ということが繋がると個別財務諸表は関係ないという話になりますよね。